たたみ

現在の住宅事情からすると、畳はすっかりフローリングに取って代わられてしまい、畳の全くない家も少なからずあるようだ。
畳があっても、スタイロフォームという断熱材でできた畳床にビニール製の畳表が張られたものであったりする。

本来畳床は、厚さ40センチメートルほどの藁を5cmまで押さえつけて作られ、畳表は丈夫なイ草で織られている。
断熱性、吸音性、クッション性にすぐれた床材である。

メンテナンスを行えば、50年もつと言われている。
畳の歴史は奈良時代まで遡るが、初めは皇族の座具として使われていた。
武家や寺院に普及したのは鎌倉時代、庶民にまで広がったのは江戸の中期以降である。

畳の格調は、その厚みでも、畳表のランクでもなく、その縁によって決まるのだが、最近では、縁のない半畳たたみがモダンなイメージなので人気があるようだ。
畳み業界もチャンスとばかりに、デザイン面にも意識を傾けるだろう。

最近では、分譲マンションの和室のデザインも変わってきた。
畳みが必ず使われているということは、やはり日本人には相性の良い座具なのである。
新品の畳のイ草の香りは、新車の香りと同等以上に気分が良いものだ。

アロマテラピーでも畳の香りを応用したものがあればいいのに、と思うが、イメージ的に売れなさそうである。
畳みは日本の気候にマッチしたものなので、気密性ある住宅構造が畳の価値を下げている気がしてならない。

夫婦だけの生活

男女が結婚すれば子どもを産み、血の繋がりが広がってゆく。
こんな形が当たり前だと思ってしまうが、結婚しても夫婦だけの人生を選ぶ人だってたくさんいる。

なかなか子どもを授からない夫婦もいて、産婦人科に定期検診に行くときの待合スペースでは、その様子が分かる。
私の周りにいる方で、ご夫婦だけの人生を選択された方は意外と多い。
50代後半で、まだまだお二人とも現役で仕事をされている。
5年ほどまえに建設された、市内が一望できる高層マンションの一室を購入され、個人事務所兼自宅として使っている。
ホームパーティーに呼んでいただき、私もお料理の差し入れなどをしたことがある。
出されるグラスやフォークなど、一つ一つにこだわりがあり、上質な暮らしをしている様子が分かった。
和室の床の間には、ご主人が作った焼き物の花器に、ご婦人が季節の花を生けてある。
主張するわけではないが、場の雰囲気を和やかにしてくれる生け花はまるでご夫婦の関係性を表しているようだった。
私はこのご夫婦のような歩み方に実は憧れている。
奥様は子どもを産まないと決断された分、同年代の女性の何倍も仕事に集中してこられた。
ご主人も、子育てをしないことに寂しい思いをさせないように、家で仕事ができるように活動されてきた。
最近お宅にお邪魔した際、健康についての話をたくさんした。
互いに心配させないように、とにかく長生きするために色々なことに取り組んでいることや、適度な運動を夫婦揃って始めたことなど、柔らかい笑顔でお話しになるその姿を見ると、出産や結婚について「リミットがもうない!」と焦る自分が恥ずかしくなった。
慌てることなく、自分らしい歩み方というものを知らない、まだまだ若輩者の私であることを知った。

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